BLOG

引越しシーズンの料金はなぜ高い?

引越しシーズンの料金はなぜ高い?
この記事の担当
  • 佐々木 智浩 (@sasaki_37career)
  • 株式会社さんななキャリア
  • 代表取締役/中小企業診断士

こんにちは。代表の佐々木です。

 

 

今回は、引越しについてです。

 

 

弊社が引越しをするというお話ではありません。

 

 

ちょうど2月に入り、3月4月が近づいてきたので引っ越しシーズンについて書いてみようと思います。

 

 

中途採用の転職で、4月1日入社による引越しをされる方も多いので、時期的にちょうど良い内容かもしれません。

 

 

実は、私は大学卒業から29歳まで引越し会社で働いていました。営業や現場、営業所の管理や採用など何でもやらせてもらいました。

 

 

大学時代も引越し屋さんの営業のアルバイトをしていて、紆余曲折あり卒業後もそのままお世話になりました。

 

 

その会社のスタッフたちがパチンコ・パチスロ好きで、仕事が終わるとよく皆で打ちに行ってました。

 

 

仕事のほうも何でもやらせてもらったということもあり、引越しの仕事でできない仕事はないという自負があります。

 

 

そんなわけで、今回は引越しシーズンに向けて、気になる引越し料金について書いてみようと思います。

 

 

だいたいの方々が引越し料金の相場を知りません。

 

 

一度引越ししたことがある人でも、条件が変わると前回の料金のようにいかず、不思議に感じたこともあるはずです。

 

 

引越し料金は、荷物の量や距離、トラックの大きさ、建物の条件などで決まるという認識が一般的ですが、もう少し突っ込んで言うと、何人の作業員でどのくらいの作業時間がかかるかで決まります。

 

 

荷物が多ければ作業員の人数が増えますし、階段5Fの作業なら1Fよりも作業時間がかかります。

 

 

また、距離が長くなれば作業時間が長くなりますし、やっかいな家具があれば作業員の人数が増えます。

 

 

よって、引越し会社側の原価がどれくらいかで料金が決まってくるのです。

 

 

引越し会社の作業員の原価は1日1万円ぐらい、トラック1台の原価は1日1万円ぐらいです。

 

 

よって、残業なしの丸1日作業で3人の作業員なら、原価は4万円です。

 

 

原価率が50%なら見積り料金は8万円、60%なら6.6万円、40%なら10万円です。

 

 

もしも半日作業で2人の作業員なら、原価は1.5万円です。

 

 

ただし半日作業の場合、前後の待機時間やトラックの原価ロス回避で少し高くなります。そうなると2万円ぐらいです。

 

 

原価率が50%なら見積り料金は4万円、60%なら3.3万円、40%なら5万円です。

 

 

原価率を高めれば粗利が少なくなり、原価率を低くすれば粗利は多くなります。

 

 

この粗利設定を決める基準が、引越しの繁閑期です。

 

 

引越しが多いシーズンでは粗利率を高めるために料金が高くなり、少ないシーズンでは粗利率を低くして料金を抑えます。

 

 

一般的に引越しシーズンは3月4月の3週間と12月末の2週間です。他にも比較的忙しくなる時期はありますが、繁忙期と言えるレベルではありません。

 

 

よって、閑散期が長い業界なので、閑散期での値引き合戦が繰り広げられ、原価すれすれの受注をしたりしています。

 

 

「安くしまっせ、引越しのサカイ♪」というCMを覚えていませんか?あれは閑散期なら本当に安くしてもらえます。

 

 

一方で、その穴埋めをする時期が繁忙期の引越しシーズンです。

 

 

引越しシーズンとそうでない時期にお引越しをしたことがある方は驚いたかもしれませんが、一般的に見積り料金は1.5倍から3倍ぐらいまで引き上がります。

 

 

例えば、原価率50%で計算した場合(全て5km以内、1Fから1F)、下記だったとします。

・4LDK 8万円
・2LDK 6万円
・1LDK 5万円
・1K   4万円

 

 

これが3月下旬の引越しシーズンだとこうなります。

・4LDK 12万円〜24万円
・2LDK 9万円〜18万円
・1LDK 7万円〜15万円
・1K   6万円〜12万円

 

 

1K一人暮らしなのに、場合によっては12万円もかかるということなんです。

 

 

今年のカレンダーを使ってもう少し見てみたいと思います。

 

 

 

 

 

例えば今年の3月なら、27日と28日が一年で最も高い日となり、次いで20日と21日が高くなるでしょう。

 

 

この27日28日、20日21日は限りなく3倍料金に近い金額になります。

 

 

もし4LDKの家族の引越しで一軒家、エアコン脱着、おまかせパックなんていうオプションをつけたら、軽く40万円を超える可能性があります。

 

 

私は約6,000件の見積りを出しました。その分、相見積もりも多く経験しています。

 

 

ひどいケースは、市内の引越しで4tトラック2台分、3月の最も高い日で100万円超えの見積りを見たことがあります。

 

 

閑散期なら30万もいかない内容でしょう。

 

 

その他にも、急遽の辞令がでた公務員のご家族が関東から北海道への転勤が決まり、複数の見積りをとったら平均で150万円だった、というのも目撃しました。

 

 

ちなみに、公務員は省庁や役職によって差はあれど、ほとんど個人負担です。

 

 

そのご家庭は転勤慣れしていたものの、そんな金額は初めて見たそうで、大半の荷物を捨てていくという判断をしていました。

 

 

では、3月4月の引越しを予定している人はどうしたら安くなるのか、ということになります。

 

 

そこで対策をお伝えしたいと思います。

 

 

■時期をずらす

 

 

今年は3月20日から4月4日が再繁忙期と予想されます。通常の3倍近くの見積り料金になる時期です。その前後1週間で1.5倍〜2倍ほどの見積り料金でしょう。

 

 

よって、この時期を思いっきりずらしましょう。

 

 

ずらせる人はGWまでずらしましょう。狙い目はGWの後半です。だいぶ安くなります。

 

 

もしくは4月中旬もアリです。通常ぐらいまで見積り料金が下がるはずです。

 

 

■荷物を減らす

 

 

運ぶのに高い料金がかかるなら、思い切って捨てて買い替えましょう。

 

 

もしくは引越し業者に運んでもらうのは大型製品だけにしましょう。

 

 

たかがダンボール、されどダンボールで、50箱運んでもらうだけでも計算上は数万円かかります。

 

 

梱包は引越し業者が運搬しやすいように箱詰めするだけなので、自分で運ぶなら箱詰めする時間を使って運べるはずです。

 

 

■長距離便は輸送期間を長くする

 

 

輸送手段で高い順は、トラック直送便→航空便→貨物便→海上便→トラック混載便です。

 

 

航空便や貨物便、海上便は、航空便→貨物便→海上便の順番で運搬日数がかかります。

 

 

そして運搬日数がかかるほど見積り料金は安くなります。

 

 

ちなみに、海上便は長いと国内でも1週間かかることがあります。

 

 

混載便になると、引越し業者のスケジュール次第なので、場所や他の荷物の都合によって1ヶ月なんていう酷いケースもありえます。

 

 

しかし、トラックを直送させるより格段に料金は下がります。関東から鹿児島まで行った場合、直送便だと往復で3日間かかるので150万円かかってもおかしくありません。

 

 

よって、長距離便の早い到着はいっそのこと諦めて、到着をゆっくりと待ちましょう。

 

 

■1Kの一人暮らしは単身パック一択

 

 

単身パックは大手の宅配便会社が提供するサービスです。

 

 

これは引越し会社の単身パックとはサービス内容が違います。単身パックという名の、普通の引越しです。都合よくネーミングしているだけです。

 

 

その一方で、例えばヤマト運輸が提供する単身パックが本当の単身パックです。

 

 

これは、宅急便みたいなものだと考えてください。

 

 

 

 

決められた大きさのカゴに荷物を詰めるだけ詰めて、1カーゴで料金を算出します。

 

 

これは大手の運輸会社だからこそ為せる技ですが、料金表が事細かく設定されており、繁忙期による値動きがの幅が少なく、明朗会計です。

 

 

車両台数が限られた引越し専業会社にはとうていできないサービスです。

 

 

ただし直送便とは異なり、翌日配送などになるので、その点は我慢しましょう。

 

 

引越しシーズンの何倍もの割増料金を払うより全然マシです。

 

 

 

 

 

最後に、引越し業者の見積りをとるときのワンポイントアドバイスです。

 

 

先述の通り、引越し料金は「作業時間が何時間ぐらいか」で決まるとお伝えしました。

 

 

ところが引越し業者は、見積り時に作業時間については言及しません。

 

 

その理由は、お客様とは建物条件やトラックの大きさなどで話したほうが伝わりやすいからです。

 

 

ただ、この記事を見た人はもう大丈夫です。

 

 

見積りが出たら、「作業時間は何時間ぐらいで見積もっていますか?」と聞いてみてください。

 

 

おそらく「当日の状況によって変わるのでなんとも言えません」という答えが返ってくると思います。

 

 

そうしたら、「そのとおりにならなくても責任追及するわけではないので教えて下さい」と聞いてみてください。

 

 

その教えてもらった時間と、見積もられた作業員の人数、トラックの台数から原価を計算してみたら、提示された見積り金額が妥当かどうかの判断ができるはずです。

 

 

今回はここまで。

 

ブログ一覧へ